使い方

LibKIDとは

対面あるいはオンラインで開催される同期型の情報リテラシー教育で,「参加者がなかなか集まらないな(そもそも開催日時が決まっているので,都合がつく人しか参加できないだろうな)」,「情報リテラシー教育の担当者の数は限られているし,同期型だと繁忙期の開催は難しいな」と感じたことはありませんか?もしこのような悩みがある場合,学習者がひとりで学ぶことができる教材,つまり独学用教材を作ることができたら学習者にとっても教師役の大学図書館員にとっても便利そうです。しっかりとした内容の教材を作ることができれば,授業の中にも組み込めるかもしれません。

そこで誕生したのが,LibKIDです。LibKIDは,インストラクショナルデザインの観点から独学用教材の作成1)を支援するツールです。インストラクショナルデザイン(lnstructional Design)とは,「教育活動の効果・効率・魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野,またはそれらを応用して学習支援環境を実現するプロセス」2)のことを指します。LibKIDは,知識の伝達(宣伝)ではなく,スキルの獲得を目指した独学用教材の作成を支援します。

1) 具体的には,教材開発のプロセスの内,分析・設計・評価の部分をサポートします。
 2) 鈴木克明. e-Learning実践のためのインストラクショナル・デザイン. 日本教育工学会論文誌. 2005, 29(3), p.197-205.

LibKIDおすすめの使い方

LibKIDは,以下の4つのコンテンツで構成されています。

  • クイズ:チェックリストやワークシートの内容を理解しているか確認するためのもの
  • 解説:インストラクショナルデザインなどに関する知識を得るためのもの
  • ワークシート:新規/既存の教材の設計を行うもの
  • チェックリスト:既存の教材をインストラクショナルデザインの観点から評価するためのもの

これらのコンテンツが扱う内容は"同じ"です。

どういうことかというと,最初にチェックリストが生まれ,その項目をもとに記入式のワークシートが生まれ,これらのコンテンツを使いこなすためのクイズが生まれました。そして,この3つのコンテンツにリンクしているのが解説です。

どのコンテンツから使い始めることもできますが,おすすめの使い方があります。

図1. まだ教材がない場合のフロー             図2. すでに教材がある場合のフロー

まだ教材がない場合(図1)と,すでに教材がある場合(図2)で共通するのは,一番最初にクイズに挑戦してもらいたいということです。ワークシートやチェックリストを使う際に,意味が分からない用語を都度調べるのは少々面倒です。そこで,ワークシートやチェックリストを使うためのトレーニングツールとしてクイズを用意しました。クイズに全問正解すれば合格です。もし間違えてしまった場合は,解説を活用してください。

クイズに合格後,まだ教材がない場合は,ワークシートを使って設計を行うことができます。教材が完成したら(あるいはすでにあったら)チェックリストを使って評価を行ってみましょう。ワークシートとチェックリストの項目は解説にリンクしていますので,いつでも解説を読み直して復習することができます。

注意事項

LibKIDは,従来の同期型教育を独学用教材という非同期型教育に変えるためのサポートツールですが,これは「今まで行ってきた教育を独学用教材に変えるべき」ということを意味しているのではありません。

例えば,何らかのツールの使い方が分からない学生がいたとして,ツールを使うことができるようになることがゴールであり,情報リテラシー教育(同期型も非同期型も含む)を行うことはゴールを達成するための手段にすぎません。もしかしたら情報リテラシー教育を実施する以外にも,ツール自体を改修したり,図書館Webサイトや館内掲示を更新したり,パンフレットを配布したりする方が手段として適切な場合もあるかもしれません。

LibKIDを使うこともまた,手段であり目的にはなり得ません。LibKIDを作った身としては「是非使ってくださいね」と思いますが,本当にLibKIDを使って独学用教材を作る必要があるのかどうかは,十分にご検討ください(参考:ニーズ分析)。